マーケティング活動において、自己の立ち位置、いわゆるポジショニングを明確にすることは、得意分野の明確化や他社との差別化という点でも重要なことになります。
5か月ほど前から通っている志師塾の「先生ビジネス開発講座」でのサポートとして専門家とのセッションがあったので、その内容を公開したいと思います。
ポジショニングをどのように規定するか
私は、すでに何度かご紹介しているとおり、税理士、中小企業診断士として独立開業しております。
そして、マーケティング活動の一環として、自己のポジショニングを明確に設定していたつもりでした。
私が今回参加したセッションでは、その専門家からポジショニングがまだ曖昧だ、という指摘を受けました。
そのため、私のポジショニングを一から見直すことになったのです。
自分としては十分絞り込んでいたつもりだったので、さらにどのように絞っていくのか興味もあったことから、その専門家の指導にしたがって進めていくことにしました。
以前から、私のビジネスコンセプトとしては、ものづくり企業に対して、赤字を黒字経営に変えることを、キャッシュフローコーチングのスキルで行うこと、と考えております。
そして、ポジショニングとして、そのビジネスコンセプトのうちの2つ要素の掛け合わせでナンバーワンになること、という話をその専門家から提案されました。
つまり、ポジショニングマップの2軸を、ビジネスコンセプトから抽出することになります。
これによって今までとどう変わるのか、順を追って説明していきます。
ポジショニングマップの2軸を決める
ポジショニングは、「誰に」×「何を」×「どのように」というビジネスコンセプトから、2つの要素の掛け合わせで3つのパターンを作ることができます。
まず、「誰に」×「何を」というパターンがあり、これを私の例にすると、「誰に=ものづくり企業に」×「何を=赤字を黒字経営に変えることを」となります。
ポジショニングとして競合と比べた時の競合性を考えると、このパターンでは競合が多いことが想定されますが、何をするかが明確です。
次に、「誰に」×「どのように」というパターンで、これは「誰に=ものづくり企業に」×「どのように=キャッシュフローコーチングのスキルで行うこと」になりますが、何をするかがわからないため、ポジショニングは明確に位置付けられません。
そして、「何を」×「どのように」というパターンでは、「何を=赤字を黒字経営に変えることを」×「どのように=キャッシュフローコーチングのスキルで行うこと」となります。
キャッシュフローコーチは、一般社団法人日本キャッシュフローコーチ協会認定資格であり、今現在全国に800人ほどの資格者がいて、今後も増える見込みなので、ナンバーワンから次第に遠ざかっていくことになります。したがって、これも競合がどんどん増えることになります。
したがって、最初の「誰に」×「何を」をベースに、さらに絞ってポジショニングを強化していく方法を考えていきます。
さらに細分化して明確に定義
まず、「誰に=ものづくり企業」ですが、さらに絞って私が想定している対象は精密機械工業の企業で、それもスマホや時計、カメラ、パソコンなどの精密部品製造を扱う企業です。
これを経営する経営者専門とすることが、2軸のうちの1軸のポジショニングとなります。
そして、「何を=赤字を黒字経営に変えることを」ですが、この絞り込みが十分ではなく曖昧だ、ということでした。
そのため、これからさらに絞り込みを実施しました。
まず、精密機械工業の経営の特徴から導き出した課題として、既存の取引先に依存しない売上改善策を講じることが浮かび上がりました。
さらにその先を詮索すると、利益追求という理想が浮かび上がりました。
利益を追求することで得られる効果として、売上や支出が改善され、その過程で既存取引先からの脱却、下請け・安売りからの脱却、本来必要な価値・価格での取引、新しい市場の開拓、高収益の実現、借入金早期返済や資金繰りが楽になる、などが実現できます。
そして、利益追求を行うことで毎年利益が上積みされ黒字経営が実現する、という結果がもたらされるのです。
以上の絞り込み作業によって、
〔ビフォー〕ものづくり企業 × 赤字を黒字経営に変える
〔アフター〕スマホや時計、カメラ、パソコンなどの精密機械工業の経営者専門 × 利益追求を行い毎年利益が上積みされる黒字経営を実現する
というポジショニングの明確化が成し遂げられたのでした。
多少無理のある展開ではありましたが、アフターでのポジショニング明確化は自分でも驚くほどの成果となったため、この内容でこれから進めていきたいと思います。